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ゆきのことを語る

部屋のポストに、現在の日本を憂う団体のチラシが入っていた。
田舎ではめったにないことなので、丹念に読んでみるが、主張がさっぱり…。
 
 
それで思い出した。
10年近く前になるのかな。
連日40近くまで気温が上がっていた真夏の炎天下、徒歩で「恵まれないひとたちへの寄付」を募る青年が会社に訪ねてきた。
差し出された身分証明の住所はそれより少し前、世を騒がせていた団体の本拠地のある場所だった。
うちではそういうことはしていないので…と断ると、慣れたようにそうですか…と帰っていった。
首根っこ掴んで、今すぐ家に帰れ!と怒鳴りたくなった。
 
一時間後くらいに用足しに出ようとしたら、近くの空き地にへたりこんでいる彼の姿があった。
 
用を終え、途中で買ったペットボトルを彼に渡そうと空き地を通ったが、もう姿はなかった。
 
彼はその後どうしたのだろうか…と、時々思い出す。