id:a-cup-of-snow は
雪杯×すのう!のことを語る

> そうだ わたしのかさを かぶしてあげよう

若者はお地蔵様の頭に積もった雪をはらうと、自分の笠をかぶせて、手を合わせました
「お地蔵様、今年も市では笠がよく売れました。ありがとうございます。けれども、何年笠を作っていても私の笠は不格好なまま、こんなみっともない笠が売れては、申し訳ないのです。来年は他のものを作ろうと思います。これまでありがとうございました。」

翌朝早く、若者の家の戸を叩くものがおりました
戸口には見た事のない若い娘が、若者の作った笠を手に立っておりました
娘の話したことには
「昨晩、市の帰りに吹雪に遭い、危うく命を落としかけた両親が、あなたの作った笠で無事に家に帰り着きました
両親よりお礼を伝えてくるよう言われて、うかがいました」
若者は自分の笠が役に立ったと知って、とても喜びました
けれども、それはどの笠も同じだったろう、それをよりによって、こんな不格好な笠、わざわざお礼にまで来てもらって、かえって申し訳ないことをしたと恐縮しました
すると、娘は
「両親の言うことには、この笠は不格好だが、とても丁寧に丈夫につくってある
この笠でなければ、あの吹雪ではとても生きてはかえれなかった
この笠を作った人は、たいそう真面目で誠実な人に違いない
私たちの命はその人に救われたも同じなのだから、ぜひお礼を伝えてほしい」
と言うと、少し躊躇ったあと、ほんのり頬を赤らめて続けた
「こんなステキな笠を作る方がどんなお方か、私もお会いしてみたかったのです」

雪のとける頃、娘は小さな猫を連れて、若者の家にやってきました
そして、その年の大晦日、若者の市には不格好だけれど丈夫な笠と、不格好だけれど暖かい猫ちぐらが並び、どちらも飛ぶように売れたのでした

おしまい