今まで一緒に暮らした猫さんが、みんな帰ってこないかなぁと想像する。
そういう時、私は今のマンションじゃなくて実家に住んでいる。
猫さんたちは家の中も外も出入り自由。完全室内飼いの王様だって、勇んでブロック塀を歩いたりする。外には野良猫さんもいるけれど、怪我をするような喧嘩はしない。病気ももらってこないし、事故に遭うこともない。
みんな好きずきに遊びに出かけたり、ひなたぼっこをしたり、毛繕いをしあったりする。追いかけっこも、場所の取り合いもするし、寄り添いあって眠ったりもする。
私はたくさんの猫のお皿を並べて、カリカリをよそっていく。少し深くなった小さめのお皿には、猫缶をついでいく。カリカリ以外は食べない王様も、猫缶を開ける音にうきうきおっぽを揺らす。
私が食事を始めると、入れ替わり立ち替わり、おねだりにやってくる。人のごはんは食べない王様も先代女王さまもやってきて、中空に手をかけて半分立ち上がり、裂いたカニかまを下からちょうだいする。おなかいっぱい食べたいわけじゃなく、一緒にごはんをわけっこしたいだけなのだから、一口もらえばもう満足して、すやすや寝息をたてているのもある。
家に帰ると出迎えてくれる王様をなでなでしていると、この優しい生き物にどうして報いたらよいのかしらと考える。必要以上には何もほしがらない猫さんに、どうしたらお礼ができるのかしら。
