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くたびれ はてこのことを語る

わたしには野望があった。
同じ中学を前年に卒業した兄の図書室SFを制覇の記録を破ろうと思っていたのだった。
SFよりファンタジーや童話がすきだったので、自分はそっちを制覇しようと思った。
それで毎日せっせと図書室へ通い、貸出カードを埋め、分厚くするのを日課にしていた。
そうして通いだすとほかにも分厚い貸出カードを持っている常連が何人かいるのがわかった。

当時図書室の本を借りるには二枚のカードが必要だった。
本についているカードと、個人の名前と学年、クラスを書いたカード。
本についているカードに名前を書き、個人カードに本の名前を書く。
この二枚をクリップで留めてカウンターに出す。

この本についているカードの方の名前に本名を書かない人たちがいることに気が付いた。
ペンネームのように、自由な図書館ネームを自分で決めて借りている人たち。
図書館カードを分厚くして通い詰めている一学年上の常連だった。
すきにしていいんだ、と知ったわたしはその日から密かに図書館ネームを決めて本を借りた。

ある日図書室で落し物を拾った。
なんだったのか覚えていないけれど、一学年上の常連の一人のものだとわかった。
それで図書館ネームで手紙を書いてカウンターに届けて帰った。
次の日下駄箱に大き目の封筒と手紙が入っていた。常連からだった。