そして午後に実家へもちおを送っていった。飲み会があるので帰りの足が必要だったのだった。
わたしは実家で待とうと顔を出したら継母と継妹が「甥介を花見に連れて行きたい」と言った。
それで車を出して公園へ行った。
かつて桜の名所として知られた公園は桜祭りの真っ最中で、広場には屋台がいっぱいだった。
継母は射的や景品くじに、継妹は屋台料理に目を輝かせていたけれど、
甥介は屋台にも遊具に感心を示さず場所見知りをしていたので、四人で花の咲く歩道を歩いた。
そしてちょこちょこ立ち止まりながら公園の上の神社までゆっくり歩いて行った。
「あたしここ来たことないんだよね」
と継妹が言った。わたしは小さいころ何度も遊びに来たけれど神さまを知らない。
ご挨拶してみようかなと思い、初めてお賽銭をあげて手を合わせようとしたら声をかけられた。
常連先輩だった。京都から里帰りしている最中とのことだった。
先輩を通じてほかの常連先輩のゆくえもわかった。25年ぶりだ。神社に来るのは30年ぶりぐらいだ。
わたしは高校一年で家出して東京へ行って以来、先輩たちがどうしているのか知らなかった。
事情があって、わたしの過去は分断されている。中学のあれこれの思い出の品もない。夢みたいだ。
先輩たちの実家も覚えていないし繋がりもない。だから本当に驚いた。
そしてさっき家に帰る途中で、今朝仏壇コーナーで彼に心の中で話したことを思い出した。
「あいついま実家に帰ってきちょうばい」「公園の神社やったら会えるやろ」
と言ってくれたのかなと思った。そうだったらいいな。そして彼がいまは気分よくいてくれたらいいなと思う。
この縁を大事にしようと思う。
