わたしは家に出入りするかなりの数の人たちと、実家の家業に就いていたかなりの数の人たちのことをそれなりに覚えている。
わたしの人に関する記憶力がいいのは親しい人の間では有名。
さて、「父の後輩」という触れ込みで現在実家を訪ねてくるX氏という人がいる。
わたしはこの人のことをまったく、本当にまったく顔も形もエピソードも覚えていない。
妹は「写真にちょいちょい写っているよ、キャンプに行ったときとか」と言うが、キャンプの思い出にも登場しない。
X氏はある仕事で近年社会的に知名度を上げ、わたしは思い出せないなりに会ってみたいと思っていた。
会ってみてもまったく記憶は蘇らなかった。知らない人だった。
こんなに思い出せないこともあるんだ、不思議だな、と思って過ごしていた。
くたびれ はてこのことを語る
