AKBの真の威力は迫真の建前力だと思う。
女の子たちの方では一貫して「ファンの皆さんに楽しんでいただけるように・自分の、私たちの夢を叶えるために、精一杯がんばります!」という建前を死守して崩さない。ファンの方では「この子たちは今どき滅多にいないくらい純粋なんだ!その純粋な子の純粋な笑顔のために喜んで懐を叩こうじゃないか!」というよくわからない合理化が働いて、まるで困窮する少女のために募金をしたかのような誇らしい雰囲気が満ちている。
外から見るとAKBファンは「年端もいかない少女にあられもない格好をさせるイベントにのめり込んで常識外れの出費をしている人」なんだけど、中から見ると「みんなを笑顔にするという夢を一生懸命追いかける健気な少女たちを見返りを求めず応援している」という大義名分がまかり通っていて、社会対俺らの結束力、また社会の偏見で迫害される少女たちを守ろうという結束力が高まっているんじゃないかな。みんなで同じ夢を信じている。
嘲笑されてもいい、全世界を敵に回してもいい、すべてを失ってもいい、この子の笑顔さえあれば、というヒロイックな気持ちって盛り上がるよね。モーニング娘。なんて特に社会に迫害されることなくお茶の間に受け入れられてたもんね。AKBが批判されるというのはいい燃料になっているんだろうな。
アイドル稼業なんてみんなそうかもしれないけれど、AKBの場合は特に、かかる費用は疑似恋愛のお値段なんだな。あの中では大っぴらに少女に恋い焦がれることができて、よく訓練されたAKBメンバーはそれに笑顔で答えてくれる。好きになった女の子だったら別にアイドル級の美少女じゃなくてもいい。だって恋愛は個人的なものだもの。辻褄の合わないおかしな理屈を信じてあげるのも愛の証だ。
「AKBは恋愛禁止なのでお付き合い出来ないんです」「夢を叶えるまでは恋愛は出来ません」という建前が守られることで、女の子もあんたなんかすきじゃないしこれ仕事だしと言わなくていいし、思いを募らせる方も傷つかずに済む。すごくよく出来てる。前田敦子をAKB卒業後「恋愛解禁だから俺と俺と」って言い寄ってくる人からどう守るか、事務所は腕の見せ所だ。
