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くたびれ はてこのことを語る

ずっと入ってみたいと思いながら20年以上素通りしていた店に入ってみた。
ほかがみんな休みだったので。
やさしい老夫婦が細々とやっていて、ほかにお客さんもいなかった。
わたしたちが入ったとき前にいたお客さんが酔った調子で
「あれ、お客さん来ちゃったよ。じゃあまたあとで」
と言っていたので、店を早めに閉めて出かけるつもりだったのかも。
カレーと鴨南蛮そば・うどんというのが店の前に書いてあったけど、メニューはなし。
九州風焼き鳥の店とあるのに店内の貼紙はおつまみだけ。
色々な意味で商売する気が失せているような悲しい店だった。

鴨南蛮そばセットを半ライス抜きで頼んだ。
「ご飯を抜いても値段はかわらないよ。サービスだから」
「結構です、食べきれないと思うので」
「でもねえ、残ったお汁にご飯を入れると甘くて美味しいのよ」
それではということでライスをつけていただいた。美味しかった。

「ご馳走さまでした。とても美味しかったです」
「帰るの。食べ切れたでしょう。はい、お釣り。500円ね。500円貯金してるの? だいぶ貯まったかな」
やさしい話し方だった。親戚のおじいちゃんちに行ったみたい。なんだか
「もっと前から行ってあげたらよかった、ごめんなさい」
と懐かしいような寂しいような気持ちになった。