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くたびれ はてこのことを語る

もう一つ、インテリア雑誌で見た忘れられない部屋がある。
建築家の男性が一人で住んでいる六畳一間、風呂トイレなし、ミニキッチン付きの和室。

角部屋なので左手と正面の二方に窓がある。座ったとき腰の位置にくるあたりまである大きさの、古い窓枠の窓。ベランダはないけれど昭和の下宿によくある、植木鉢一つをおけるほどの鉄製の手すりがついている。その二つの窓と角を合わせて部屋の左隅に長火鉢が置いてある。

部屋の右側には手作りの座卓式机がある。これがすごい。部屋の入り口からずっとゆるやかなS字カーブを描いて机が、その上に本棚がある。本棚の棚の幅は専門書など大きな本を置く棚、文庫など小さな本を置く棚とちょうどいい大きさになっていて、ところどころ趣味のいい置物がある。机が終わるところ(始まるところ)が部屋の入り口で、恐らく入り口の左側に半間の押し入れがあって、そこに布団が仕舞ってあるのだと思う。夜は布団を出して眠るんだろうな。

完璧!! 六畳にすべてがある。必要不可欠な何もない空間もふくめたすべてがある。なぜコピーしておかなかったんだ。何度も図書館へ行くけれど、あれきり二度と見つけられない。

ああいう部屋に住むには相当自分の人生見つめ直さなきゃならないだろうな。