ずしょさんとkenさんは先に出て休んでいた。すぐ車に行くことに。
わたしは二人の後を追って下駄箱のあたりで靴の紐を結んでいたら、背後で声がした。
「・・・なんですって! あの子。見たでしょ? 痩せてたじゃない」
どうやら後から出てきたおばちゃんが、ロビーで大声で話している。
「癌保険に入れないんだってよ。ねえ、痩せすぎで」
「へえー。そんなことがあるんだな」
「そうなんだって。痩せすぎだからダメなんだって。ねえ、痩せててもさ、」
おばちゃんは、ものすごく勝ち誇った声で受付のおじちゃんと話していた。
どうやら常連で親しいらしい。
「だからね、あたしびっくりしたのよ。ダメなんだって。持病もあるんだって!」
おばちゃんはうれしくてたまらないようだった。とてもとても。
わたしには他人の身体の不調がなぜそこまで彼女を喜ばせるのか分からなかった。
でもおばちゃんが、わたしを人として自分より格下だと確信しているのはよく分かった。
