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くたびれ はてこのことを語る

タイトル:わたしのドレス

「どうしてこのドレスじゃダメなの?」
ママはリングに上がったプロレスラーみたいに腰に手を当ててため息をついた。
「とっても似合うと思うわよ。この間の発表会のドレスみたいじゃない」
わたしはふくれっ面のまま黙ってうつむいていた。
蝉の羽根のように薄く淡い色の妖精のドレスは、確かにバレエのドレスと似ていた。
おばあちゃまとおじいちゃまはセンスがいい。とってもすてきだと思う。でも。
「・・・黒い魔女になりたいの」
思い切って言ってみた。
「黒い魔女の子なんていっぱいいるわよ? きっと誰が誰だかわからないくらいだわ」
「でも、魔女がいいの」
「こんなに手の込んだ衣装なんて、誰も着てないわよ。ちょっと着てみたら?」
着てみたい気持ちはあるけれど、ここで袖を通したらママの思うつぼだ。
わたしは唇を噛んで首を振った。

パパの暗室から持って来た黒いシーツを広げてわたしは考える。
これを自分で縫えたらな。魔女の帽子と魔女のマント。黒いぶかぶかワンピース。
そして誰にも気付かれずに、こっそりあのこの後ろを歩けたらいいのに。
長い髪を帽子に隠して。