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くたびれ はてこのことを語る

彼は差し出された手をぐっと掴み、自分の頬にあて、すりすりと頬ずりをしました。
どどどうしよう、いや、むり、離して!
反射的に引こうとした手を彼は捉えて離しません。どうしてこうなった。
そのときです。

「ダメだ!」
はっと顔を上げると通りすがりのおじさんがこちらを睨んで立っていました。
彼は場違いなきょとん顔で自分の耳を指さし、聞こえないというゼスチャーをしました。
「ダメ、ダメだ」
おじさんは断固とした口調で頭を振っています。
彼の手が一瞬緩んだすきにはてこちゃんはなんとか手を抜き、脅えた気持ちで立ち上がりました。
あんまりショックでおじさんにお礼をいうことも、手握り男を蹴飛ばすこともできませんでした。

おじさんははてこちゃんが立ち上がるのを見届けると、そのままホームを歩き去りました。