自分で処分した覚えはない。荷物は全部持ってきたのに。
でも、わたしにとっての貴重品はどれもほかの人の目に価値のないものばかりだった。
小さな不用品、ゴミだと思われてもおかしくない。知人が早々に捨ててしまったのかもしれなかった。
それに気付いたとき、わたしは声を上げて小一時間泣いた。
色鉛筆や洋酒の箱はどこかで似たようなものを見つけることもできる。
でもまるちゃんはどこにもない人形なんだ。まるちゃん。わたしのだいじなまるちゃん。
わたしはまるで恩人かペットをなくしたような気持だった。
どうして自分の手荷物に入れておかなかったんだろう。悔やんでも悔やみきれない気持ちでいっぱいだった。
生まれてよかった、女の子でよかったと思わせてくれたまるちゃん。
母が作った抱き人形やまるちゃんの妹だと言って作ってくれた人形はあった。
でもそれはまるちゃんじゃなかった。嗚咽が止まらなかった。
