21の時、家出以来絶縁していた実家に帰ったところ、お正月に祖母と叔母がおそらく叔母の振り袖を着せてくれた。金色がかった山吹色で、裾模様は牛車だったと思う。
美しかった。叔母が丁々発止の軽口を叩きながら祖母と二人で嬉しそうに着物を着せてくれたことを思い出す。あのすばらしい着物は叔母が亡くなった後の遺品整理でどこかへ消えてしまったのだろうな。着物の楽しみが分かるようになったいま悔やまれてならない。
玄関先で撮った写真を引き伸ばして送ってくれたとき、こんな写真引き延ばしてどうするつもりだ、と滑稽に思ったのだけれど、勤め先で話したところ「年とってから記念になるだろ」と言われ、はっとした。自分は年を取り、二度と同じ姿にはならないのだと実感したのであった。
くたびれ はてこのことを語る
