[親に言われたあれで名前に関わる話]
大学生になって一人暮らしを始めたとき、出張か何かのついでに泊まりにきた母ちゃんから「名字変わるかもしれんよ」と言われたときが一番驚いた。
父母の仲はあれだというのがもうずいぶん前から伝わるあれでそれだったのだが、そこで安定していたようだし、あえてここで変化をつけんでもええじゃろとか、いまはバオー来訪者にかぶれて橋沢と名乗ることがあるし、小中とキーパーばかりやらされて、出席番号常に最後のほうで、文字多くて面倒に思ったこともあるが、この名字けっこう好きなんだぜとか、いろいろな思いがよぎった。
続いて語られた「名字変わるかもしれん」原因は、以下のようなものだった。
故郷の家の数十年にわたる隣同士で、旦那さんが亡くなってからずっと一人暮らしをしているばあちゃん(仲良くしていたが血縁なしの他人)の具合が悪い。親戚も寄り付かない。ことばはおこがましいが、うちで面倒を見ている。つきましては、亡くなった後の土地を譲ってもらうよう話をしている。弁護士に相談したら、養子になるのが円滑かもしれんと言われたので、検討中だ。
数年後、隣のばあちゃんが亡くなった。結局、養子縁組することなく土地は譲り受けたようで、故郷の土地は2倍になり、私は変わらずキーパーっぽい名字で、ファーストネイムも合わせると11拍という、カナ表記を強いられたときだけはちょっと面倒に思うがおおむね好きな名前を維持している。それでいて20年くらいずっと自称橋沢図書助。
