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うさのことを語る

手さぐりで、力業で、コミュニケーション回路を作りだすということ
内田樹(凱風館館長、神戸女学院大学名誉教授)

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にじり寄るように他者との距離をつめ、「取り付く島」を探ってじわじわと言葉が通う回路を作り上げる能力がコミュニケーション能力なのです。コミュニケーションの場というものは誰かが用意してくれるものではない。私は語るべきコンテンツは持っている。だから、誰か「コミュニケーションの場」を作って持って来いというわけにはゆきません。もう一度言いますが、価値のあるコンテンツを流暢な語り口で告げることがコミュニケーション能力なのではありません。言葉が行き交う場を立ち上げるのがコミュニケーション能力なのです。
他者は原理的に理解不能、共感不能の存在です。いつだってコミュニケーションは部分的、一時的にしか成功しません。だから、「ふつうに」話していたのでは、言葉は通じません。「いつもはしないこと」をしないと、他者との距離は縮まらない。
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自分が受けた教育の意味は卒業時点では計測できない。卒業した後も、毎年のように回顧的に書き換えられていくわけです。新たな経験をするたびに自分が学んだことの意味は上書きされて、評価は変わり、記憶は改変される。大学の時受けた教育の意味は「こんなこと」だったのかと得心するのは、まあ30年後じゃないでしょうか。
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http://www.cscd.osaka-u.ac.jp/2014/000837.php