id:usaurara は
うさのことを語る

---- COBALT (8) ----
 
キッチンを物色して見つけたカップヌードル、食べかけのスナック、
賞味期限切れの魚肉ソーセージを並べたら「要らない」と言っていたロシウの腹が鳴った。
向き合って、それを映画にでてくる山賊みたいにぐるぐる回し食べる。
――悪食。
彼にとって自分がまさにそれだという現実を、ロシウはコーラで飲み下した。
コーラはとても美味しい。 
 
「クリスマスは?」
「イヴにヨーコが泊まりに来て、朝そのまま旅行に行く予定なんだ。
もしかしたら答えを出す予定…もはいってんのかもね」
無理な笑みにも、圧倒的な優しさが滲み出る。
もし愛し合えばこの優しさにもいらだつ日が来るのかな、とロシウは思う。
 
「ごめんな。誕生日してくれたのにクリスマスになんもできなくて」
と言いながらシモンはカップヌードルの器を片付ける手をふと止めると、
それを逆さに伏せてハミングを始めた。
歌いながらシモンは割り箸のスティックで器用にリズムを刻む。
 
「あ…初等部の頃演った・・・なんだっけ?」
「らぱぱんぱん♪」
「そうそう!僕髪が長いってんでマリアさま演らされたんだ」
「ははは・・・じゃあ、今日はお前が御子な!」
 
とても貧しい少年が、お生まれになった御子に何もプレゼントができないと
プレゼントのかわりにドラムを叩くお話だ。
ロシウは父と父に纏わるさまざまな事柄をうとましく感じ始めたその頃のことを思い出した。
・・・でも。
こんな素敵なドラムならいい。
コーラみたいに、いい。
 
闇がもうコバルトブルーに変わろうとしていた。