---- JACK (3) ----
さて、ひとしきり泣いたジャックが立ち上がると、落ちたばかりの暗闇の中に
いくつものかがり火が首飾りのように連なって燃えていました。
「なんだろう。お祭りかしら」
夜のほとんどを森の暗がりで過ごしてきたジャックには、美しい幻のようです。
ジャックは大きな樫の木のてっぺんに登り、ちろちろ揺れる灯りに見とれていましたが
近づいてくるにつれて、それがただごとでないと理解しました。
人々の口は皆「ジャック」と叫んでいたのです。
「逃げなければ!」
でも、そう思う一方で「なぜ?」と思う気持ちが足を止めます。
理由も無いのに逃げるのは自分が悪い存在であると認めることにならないかしら。
迷っているうちにとうとう隊列が原っぱにたどり着いてしまいました。
痩せた犬が数匹唸りながら樫の木を揺らします。ジャックは怖くて降りることができません。
「ぼくはなにもしていません」と叫びましたが、人々の叫びと犬の鳴き声に
かき消されてしまいました。
あきらめたジャックが降りようしたその瞬間、樫の根元からぱちぱちという音と
きらきら光る火の粉が上がって彼を包み込みました。火が放たれたのです。
うさのことを語る
