---- MAUVE(4) -----

たよりない丼に半分こしたタマゴと三角揚げを抱えて、見上げている空には星もない。
言葉のかわりに吐息だけが、繰り返し横顔のラインを這い上がっていった。
「さっき」
「うん?」
「店で腕を掴まれたの、嬉しかった」
「・・・」
「たぶん僕は待ってたんです。引退試合の決勝ゴールから」
「・・・って・・・三年前?」
その言葉が薄雲を吹き飛ばした。
偶然とか、必然とか、意味があるとかないとか、そんなことじゃなくて。
ただ俺の爪がもう後戻りできない深さで食い込んでいるって事実が、
空っぽの丼のなかにごろんと転がっているのだ。
うさのことを語る
