[言葉]
○前にも書いたかもしれない。いちばん最初の壁は方言だった。「あんばようやってちょーよ」って言葉を聞いて、東京育ちの人間は、この人はいったいなにをいってるのだろう、という壁にぶつかった。ひとの発する言葉というのはわかるとは限らないという、体験。こいつはけっこうでかかった。あんばようやってちょーよって、塩梅よくやれよ、って意味なんだけど、標準語にするとあんまりニュアンスは伝わらない。
○もうひとつ、社会人になってから気がついたのだけど、人というのは自分がおぼえられたからといって他人が覚えられるとは限らない、ということを教わった。ひとには差異があって、一を知って十わかるやつばかりじゃねーんだ、ってのを教わった。育ちや教養とか、違う背景を背負ってる人が多いわけで、だから人に話すときにはなるべく、やさしい言葉をつかうようにしてるのだけど、それでもって伝わってるかどうかはわからない。
○やさしい言葉を連ねてもいいのだけど、こんどはやたらと長くなる。説明が長くなると、人はついてこない。そこが厳しい。
○言葉ってのは、云ってるほうと聞くほうが、同じじゃないと、伝わるとは限らない。やさしい言葉をつかうと、正確さが犠牲になるときがある。正確さを追求すると、わかりにくさが増幅する。そこで悩むんだけど、解法はない。ねちっこく、ねばり強くやるしかない。ほかの人はどうしてるんだろうと思うときがあるけど、訊くとしてもなにをいってるんだこいつは的な意味不明な質問になりかねない。
○きっと何度も書いてることだと思うのだけど、おのれにとってけっこう重要なテーマなのです。
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