id:gustav5 は
自分(id:gustav5)のことを語る

【勝手に引用】
辻井:(中略)日本の自然主義の作家に社会的現実があったのか。青野季吉みたいな言い方で恐縮だけど、僕はどうもね、個人的な現実の肥大でしかなかったと思う。
石原:うん、それは大事な問題だな。だから石原さんはその社会的現実を求めてどうせやるなら参議院議員になろうと思ってたら先になっちゃったんで、腹を立てて。
辻井:彼はなろうと思ってたのかな。
石原:あとでそれを知ってショックをうけました。三島さんは剣道の仲間に相談して本気で考えたのです。佐藤寛子さんのところに三島さんのお母さんが友達なんでいったとき、この頃公威の機嫌が悪くってね、って。石原の奴が政治家になっちまいやがってあーあつまんねえ、つまんねえっていってたって。それをきいてこっちは薄氷を踏む思いであんな選択したのに、三島さんがやるんだったら僕はなにもこんなことしなくてもよかったんだと思った。とにかくデリケートになっちゃったな、あのあと。三島さんが僕に一つだけした忠告は君はやがて遊説に行くだろう、夕方どこかで海岸を走ってて「おい秘書官、車を止めろ、まだ時間があるな、ちょっとだけこの夕陽を見てゆこう」などというんだったら絶対政治家として大成しないぞ、そんなものはだめだっていうから、それは三島さん、あなたのアンチロマンティックな、小説家的発想でね、僕にそれが無かったらしょうがないし、そんな人間がいないから政治家になるんで、僕は最後は非常に感覚的な政治をするかもしれないし、悪くいけばヒットラーになっちゃうかもしれない、あなたヒットラー嫌い?っていったら黙っちゃった。僕はヒットラーなんぞにはなれないし、なろうともおもわないけどね。三島さんはヒットラー好きだったんじゃない?(中略)僕は夕焼け眺めて演説会に遅刻しますよ、っていったら「だけどきみは文学的な政治をやろうと思うなよ」「いいえおもいません」「政治小説も書くなよ」「そんなつもりもありません」っていって、それから非常にしらけちゃったの。二人の仲が。

(トレヴィル・辻井喬=堤清二対談集収録)