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映画のことを語る

見てきました、「バードマン あるいは (無知がもたらす予期せぬ奇跡) 」。

レイトショーにて鑑賞、見終わって既に4時間は経ちますが、まだ脳が興奮しているようで寝られない。 というのも、ラストの余韻を引き摺りながら改めて考えていると、いろいろじわじわくるものがあり。

このアレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥ監督の過去の作品、特に 長編作品に関しては、これまでの4本すべてを見てきたのですが。 最初の2本がとても印象深く、しかしその後の2本は、ストーリーやその作風とは関係のないところで気になることがあったり、自分の具合的なことであまりちゃんと見られなかったりして、最初の2本ほどには思えなかったのです(そういう理由なので、それら作品をダメだと言いたいのでは ないです)。

そして今回。 作品自体、その先行きを見守るのに とてもドキドキするような、そんな面白さもあるのですが。 これまでの作品と、テーマも作風も、ガラッと変えてきている。 まったく違うことをしている。 それが何より、すごいと思ったのです。

なにしろ、これまで築き上げてきたものとは まったく違うことをしているわけです。 しかも これまでだって高い評価を得てきた、それらを一新してしまうだなんて、すごい挑戦じゃないか! と。

ちょっと見ただけで “ああ、これだ、あの監督はやっぱりこれだよ” と 観客が実感するほどに 独自の作風と信念を貫き通す監督の素晴らしさと同じぐらい、新しいことに挑戦する監督というのもまた、素晴らしいじゃないか、と。 いいとか悪いとか関係なくとにかくすごい、と、その挑戦について考えていたら脳がすっかり起きてしまって、まだ寝られないわけですが。

なにより、嬉しかったわけです。 前の2本の長編と私はうまく噛み合わなかったけれども、もともと好きだった監督の作品を見て、こうしてふたたび “面白い!” と思ったということが。 最初の長編 「アモーレス・ペロス」 を見た時の見応えを、懐かしく思い出したりしたわけです、そして今回の面白さ・見応えというのは、その時とは まったくタイプが違う。 しかし その どちらも、同じ監督がやってのけたことであるという、いやはや、まったくなんとすごいことでしょうか。