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映画のことを語る

10月1日鑑賞
「ファーナス 訣別の朝」

「クレイジー・ハート」 のスコット・クーパー監督作。
主演のクリスチャン・ベールをはじめ、名優揃いで、見応えあり。

・作品によって、時に びっくりするほど思い切った役作りをすることで知られるクリスチャン・ベール。 日々の生活や、思いもよらぬ出来事に疲弊し、常に自分を抑えて暮らしながらも、最後には執念に突き動かされるという主人公を演じた(外見的な改造は特にしていない)今回も、さすが。 “ニ枚目俳優が疲れきった人を演じている” のではなく、本当に “疲れきっている人” としてそこにいる。

・非常に凶悪な人物を演じているのが、ウディ・ハレルソン。 昔からわりとそういう役も演じてきているとは思うが、それにしても、目つきや雰囲気が、時々ゾッとするほど、本当に怖い。 風貌は、いつもの感じと、特に変わりなし。 つまり、外見に関わらず、本人の演技だけで この怖さなのだ。 昨年公開された映画では気のいいマジシャンなど演じていたが、一変してこの怖さ。 改めてすごいと思った。

・つい最近 「ケープタウン」 でも見たばかりのフォレスト・ウィテカーは、偶然にも、両方の作品で警察官役。 とはいえ、南アフリカ、ズールー族の男性(ズールーの言葉と英語台詞両方あり)を演じた 「ケープタウン」 と、“アメリカの田舎町のお巡りさん” を演じたこちらとでは、話し方など、すっかり別人。

・ほかにも、ウィレム・デフォーやケイシー・アフレック、青でも緑でもないゾーイ・サルダナらが出演。 名優サム・シェパードも。 サム・シェパードが出ていると、映画が引き締まるように感じる(今回は、役柄上、いつもより目立たないとはいえ)。

日々の暮らしにたとえ閉塞感を感じようとも、その暮らしをやすやすと捨てることもできないという意味で、本当に閉塞している。 その描き方が、ずしーんとくる。