id:Yoshiya は
コンピュータ夜ばなしのことを語る

第0話「マニュアル」

その昔、コンピュータを扱う人はマニュアルを穴が空くほど読んでいた。
そうしないと、融通の効かないコンピュータは動いてくれないからだ。
コンピュータに詳しい先輩諸兄に訊いても、「マニュアルを読め」の一言で却下。
手取り足取り教えてくれる優しい先輩なんで皆無であった。
(一部の先輩はかわいい後輩女性に「手取り足取り胸取り」で教えて、嫁さんをゲットするなんて事もあった。
今同じ事をすると、セクハラで訴えられます^^;)

話は脱線するけど、言語系のマニュアルは値段が高い上に重く、分冊化しているので持ち運びなんてできないものであった。
そこで、頭のいいエンジニアは必要なところだけコピーを取り、1冊にまとめてプロジェクトメンバーに配りまくった。
そのエンジニアの行為は他のメンバーから大層喜ばれた。

それから数年後パソコンでもソースの開発が出来る様になると、技術系出版社はこぞって言語の解説書やマニュアルの解説書を出しはじめた。
その魁が「Microsoft C ver4.0テクニカルガイド」
これを持っていれば、重たいマニュアルと格闘しなくても何とかなった。

時代は進んで21世紀、小中学校でパソコンの授業が必須になり、職場にもパソコンが一人一台というご時世。
誰もがパソコンを使える様になり、マニュアルは重い紙の本から電子データ(PDF)になった。

電子データになれば重いマニュアルを書棚から引っ張り出し、ページを捲って調べたいところを探すと云う手間は無く、アクロバットリーダーを立ち上げ
検索窓からキーワードを打ち込むだけで知りたい情報が簡単に入手できる。
誰もが喜んだはずだった…

しかし、人間と云うのは便利になればそれ以上に堕落する生き物である、
マニュアルが簡単に読めると云う事は、自分でない第三者が簡単に読みこなしている。 だったら、自分でマニュアルを読むよりも他人に訊いた方が早い。
かくして、マニュアルは未だに「読まれない書籍」という地位を確保し続けるのである。
(終)