【アメイジンググレイス】
数年遅れながら日本公開されたのは、おそらくベネディクトのお陰なのだろうが、わたしに一番印象深かったのは、彼演じるピットでも主人公ウィルバーでもなく、「20000人の亡霊と暮らす男」ジョン。奴隷運搬船の元船長、『アメイジング・グレイス』作詞者、奴隷貿易廃止活動のため回顧録を書いた聖職者。
こないだプロムス関連でイギリスには「愛国的」と呼ばれる歌があることを知った(たぶんAlways look at the bright side of lifeあたりも入るんじゃないかな)が、『アメイジング・グレイス』もそうなのねというのがこれ見てよくわかる。歌われ方としては、途中の結婚式ではっとした。
今というタイミングで見ると、奴隷貿易という人間性を押し潰す経済活動が、地盤利権その他に関わる議員によって国益や愛国心とごちゃ混ぜに語られ、廃止活動を国家反逆活動として消し去ろうとするあたり、原発問題と同じにしか見えんのだが。機運高まっていた廃止活動が隣国フランスとの戦争勃発によって一挙に鎮められてしまうあたりがマジ不気味。
あと当事者詐称疑惑とか、実際に反逆も兼ねた活動家の存在とか、法律家によるチートだが現実には有効な対策法とか、微妙だが必ずある話もちゃんと入ってる。奴隷解放活動とクエーカー教徒の関わりも前から少し興味あるところで、ちゃんと思い出させてくれた。
