『アイリス』は、前にもここに書いたんだけど、介護される側ではなく介護する側がどう諦めるか、という話だと思うんだよね。アイリスとジョンは夫婦だから老老介護になるんだけど、これ老老だけの話じゃないだろう。
初めて見たときは、「自分がアイリスなら、こんなに憎まれたらたまらないだろう」って思った。自分の周囲の霧が深まっていく過程でに、ずっと何か(この場合は文字を書くこと、文章を綴ること)しろ、できるはずだと追い回されるのは、混乱と恐怖だろうって。
でも、相手が今までとは違う知らない人間になっていき、共有してたはずの思い出や過去があやふやになっていく不安や恐れや悲しみは、介護する側のほうが強いのかもしれない。
彼彼女が過去かくあった彼彼女に戻ることを諦め、現実を振り返って、自分について見切りをつける。それはいつどのように起こるのか。
見るたびにそういうことを考える。アイリスがあそこで「愛してる」と告げなかったとしたら、ジョンは彼女を手放すことができただろうか。
