丸山正樹『龍の耳を君に デフ・ヴォイス新章』
犯罪を目撃した緘黙症の少年が日本手話という言葉を手にして、そして、という話の中にきわめて現在的な問題があれでもかこれでもかと詰め込まれていて、正に今現在の話。今って、こんな感じ。それでいて、抜群におもしろい。このバランスは映画で言うと『ブラックパンサー』。基本的に時系列通りに素直に前に話は進んでいくし、わかりやすいんだけど、構成が見事で、ああ、あれがこうしてこうなってそして……という驚きに満ちています。前作『デフ・ヴォイス 法廷の手話通訳士』と合わせておすすめです。

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2 月。
春日武彦×平山夢明『サイコパス解剖学』
門井慶喜『銀河鉄道の父』
アガサ・クリスティ『ゴルフ場殺人事件』『アクロイド殺し』
『映画秘宝 底抜け超大作』
エラン・マスタイ『時空のゆりかご』
・『サイコパス解剖学』は誤記が目立っていたのも手伝って、完成度が低いように思いました。気楽に読めたのは良かった。
・『銀河鉄道の父』は無力感と劣等感の前でじたばたする賢治がリアルでした。
・『アクロイド殺し』、犯人を知った状態で読むとすごくおもしろかったので、まだ知らないあなたに教えてあげたい。犯人は……
・昔の『映画秘宝』、病床で端から端まで読ん…[全文を見る]
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1月。メモしわすれてた。
フィリップ・K・ディック『時は乱れて』
清水潔『殺人犯はそこにいる 隠蔽された北関東連続幼女誘拐殺人事件』
清水潔『桶川ストーカー殺人事件 遺言』
デボラ・E・リップシュタット『否定と肯定 ホロコーストの真実をめぐる闘い』
アガサ・クリスティ『スタイルズ荘の怪事件』
・『時は乱れて』は書き出しが秀逸で、その勢いだけで最後まで行ける。
・話題の『殺人犯はそこにいる』、読んで良かった。これは出版社やテレビ局に所属してないとできない。すごい。テレビ局や出版社はこういう調査報道をやっていく以外にないのではないかしらん。
・『否定と肯定』、映画を見て、原作を読んで、時間を経てみて思うにやっぱりこの邦題、変ね。なんでこうしたのかしら。『否認』あるいは『否認論者』で良かった。「と」で同列につないじゃいけないことがある。
・今年はポアロを読もうと思って。
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2017 年 12 月
能町みね子『お話は伺っております』
大島正二『中国語の歴史』(再)
トーベ・ヤンソン『石の野原』(再)
大岡昇平『事件』
パオロ・マッツァリーノ『世間を渡る読書術』
髙橋昌一郎『反オカルト論』
若竹七海『御子柴くんと遠距離バディ』
『反オカルト論』は「へー」というようなことが書いてあって興味深いのですが、残念ながら著者の差別意識がばりばりと主張しており、その壁に水を差されました。大岡昇平はやっぱりおもしろい、来年はちょこちょこ大岡昇平読んでいこう、と思いつつ、うちにある大岡昇平は全集(ねっころがって読めない大きさ)なので、文庫で読みたいなあなどと贅沢なことを考えました。若竹七海の新しいの、よかったですよ。ファンのみなさんはもう読まれまして?
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11月
今村夏子『こちらあみ子』
今村夏子『星の子』
東山彰良『僕が殺した人と僕を殺した人』
今村夏子『あひる』
吉川凪『京城のダダ、東京のダダ』
今村夏子、おもしろいよ。おすすめです。語彙の少ない語り手なんだけど、いわゆる「信用のおけない語り手」的な感じがしない。語り手に何かを隠そうとか、読者をだまそうとか、あるいは読者を利用しようとか、そういう意識が全然、全く、感じられない。すごい。東山彰良の今年の新作『僕が殺した人と僕を殺した人』も上品で良かったですよ。読者を大事にしてくれている感じがしました。そして、吉川凪『京城のダダ、東京のダダ』はもっと売れてほしい! 出たのが数年前なのですが、今またぜひぜひ話題になってほしい。映画になってもよい。
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10 月
カズオ・イシグロ『浮世の画家』(再読)
木村英樹『中国語 はじめの一歩』
フィリップ・K・ディック『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』(再読)
さすがに三冊しか読んでいないのでどれも印象が鮮明です。『浮世の画家』に出てきたガキンチョがほんとにリアルに憎たらしくてその筆力に圧倒されました。あいつ、目の前にいたらはったおしそう。『アンドロイドは電気羊の夢を見るか』は初めて読んだときと寸分たがわないこわさを味わいました。ほんとに読んだのかと疑いが生じるころに、前回読んだときのブックマークが出てきて「へえ」と思いました。楽しかった。…[全文を見る]
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9月は一冊しか読みませんでした。
・岩下 明裕 『入門 国境学 - 領土、主権、イデオロギー 』(中公新書)
境界研究(ボーダースタディーズ)の入門書。おもしろかった! 次に何を読んだら良いかあたりもついたし、よかったです。
9 月は昼間仕事で読んでいたものが、自分にとっては若干ハードだったので、夜は漫画を読んですやすや寝ていました。10 月は平常運転に戻れるので、ほっとしています。
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8 月メモをすっかり忘れておりました
・いとうせいこう『存在しない小説』
・久生十蘭『魔都』
・『久生十蘭短篇選』 (岩波文庫)
・中野信子『サイコパス』
・モリナガ・ヨウ『迷宮歴史俱楽部』
書き出してみたら思い出した。どれもおもしろかったよーん。
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1945 年 8 月 14 日夜、ポツダム宣言受諾、その後、最後の空襲があったんだなあと思いつつ開いて、じっくり読みました。

「わからないことがわかった」っていうフレーズが時々あるんです。それもよかったし、こうして読みやすい本にまとまったこともよかったなあ。
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7月〜
・岩井志麻子『現代百物語 不実』
・アガサ・クリスティー『複数の時計』(再)
・春日武彦『鬱屈精神科医、お祓いを試みる』
・春日武彦『家屋と妄想の精神病理 あるいは、狂気とアナクロニズム』(再)
・今本渉編訳『ロバート・エイクマン短編集 奥の部屋』
・高野秀行『イスラム飲酒紀行』
・星野博美『今日はヒョウ柄を着る日』
・前野ウルド浩太郎『バッタを倒しにアフリカへ』
・嗣永桃子『嗣永桃子卒業文集』
この世はワンダフルだなという感じのする7月でした。
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6月
伊藤 比呂美『切腹考』
大森望,、豊崎由美『村上春樹「騎士団長殺し」メッタ斬り! 』
今村与志雄訳『唐宋伝奇集 南柯の一夢 他十一篇』、『飽唐宋伝奇集 杜子春 他三十九篇』
あとは久生十蘭の短編を読んだり、仕事関係の本を読んでいました。怪談の季節前に『唐宋伝奇集 』を読んでいい助走になりました。
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尾瀬あきら『どうらく息子』第一〜十八集(完) 小学館
落語の世界に飛び込んだ関谷翔太を中心にした群像劇。完璧。おもしろかった! たった十八巻で終わった。あんなに、みんなに色々あって、完全に群像劇なのにラストのシャープさに驚きました。題材が落語というのも生きていて、日常触れているロジックとは違うロジック、違う文体ですっすっと物事が動いていって、どの人の「サゲ」にもドキドキしどおしの全十八巻でした。読んだ次の日、道を歩きながらふっと彼ら彼女らのことを思い出して泣いてしまった日もありました。こんなにはまっているにもかかわらず書店でタイ…[全文を見る]
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5月
・東山彰良『さようなら、ギャングランド』
・いとうせいこう、奥泉光『漱石漫談』
・ 石原 千秋、小森 陽一『漱石激読』
・夏目漱石『明暗』
・村上春樹『騎士団長殺し』
5月はそんな風にして終わりました。「美禰子が三四郎を好きになるわけない」みたいな話が「漫談」でも「激読」でも出てくるんですが、そうかなあ、美禰子がちょっかい出したんじゃないかなあ、などと思いながら楽しく読みました。6月は少しさわやかなものを読みたいです。
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4 月
・マイケル・シェイボン『ユダヤ警官同盟』
・ティモシー・ヴァースタイネン&ブラッドリー・ヴォイテック『ゾンビでわかる神経科学』
・架神恭介&辰巳 一世『よいこの君主論』
・ジェフ・ポッター『Cooking for Geeks 料理の科学と実践レシピ』
・サイ・モンゴメリー『愛しのオクトパス 海の賢者が誘う意識と生命の神秘の世界』
・臼井隆一郎&高村忠明編『シリーズ言語態4 記憶と記録』(再)
・東山彰良『ラム&コーク』
マイケル・シェイボン『ユダヤ警官同盟』、今頃読んでとってもおもしろかったので、この著者の本を続けて読もうと決めたのにそのことを今の今まですっかり忘れていました。よかった、ここに書き込む習慣にしていて。「読了」キーワード、とても便利です。
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3月
・東山彰良『罪の終わり』
・ロラン・バルト『物語の構造分析』(再)
・小川さやか『「その日暮らし」の人類学』
・丸山正樹『漂う子』
・ミラン・クンデラ『カーテン』
・デイヴィッド・ゴードン『二流小説家』
・中島義道『「時間」を哲学する』
・金子兜太『他流試合 俳句入門真剣勝負!』
『他流試合』は新しく文庫で出てたのを昨日新幹線で読みました。おもしろかったよ! ところで『罪の終わり』を読んで何かひらめいてロラン・バルトを引っ張り出したはずなのに、バルト読んでる最中にそのひらめきをすっかり忘れた……というのを今書きだしてみて気づきました。『流』を読み直せば思い出すかも。大したことじゃないはずなのだけど。
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2月
・ミシェル・ウェルベック『プラットホーム』
・フィリップ・K・ディック『アジャストメント』(再)
・臼井隆一郎『アウシュビッツのコーヒー コーヒーが映す総力戦の世界』
・ダニエル・ドレズナー『ゾンビ襲来 国際政治理論で、その日に備える』
・アントニー・ワイルド『コーヒーの真実 世界中を虜にした嗜好品の歴史と現在』
今月は石黒正数『それでも町は廻っている』が完結しましたので、それを読み返すのに忙しかったです。終わっちゃって、晴れ晴れと寂しい気持ちです。あと、コーヒー本は一通り読んでような気がするので大分気が済みました。
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ダニエル・ドレズナー『ゾンビ襲来 国際政治理論で、その日に備える』白水社
「(略)『ホントは、ゾンビなんかいないのよ』と私を安心させてくれた娘、ローレンに」という献辞で始まり、「『国際政治の理論』の著者であり、私の専門分野の大権威であるが、実のところ実際に会った事はないケネス・ウォルツに対しては、ひとこと言っておきたい。マジで、すいません…」という謝辞で終わり、155 頁の本文に対して 50 頁の訳者解説と 33 頁の注がつくこの本が「おもしろかった」ということはとりあえずおいといて、私にちょうど良かった! 「ゾンビは嗜む程度」という私に大変ぴったりで、「ああ、もっとゾンビ映画見よう!」と思えるという、とても素晴らしい出会いでしたの。
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読み終わったよエイドリアーーーーーーーーーン!

たったの二巻を読むのに何日もかかった……一頁あたり平均六個のギャグがあり、さらに時折はさまる「このくだりを読む必要はありません」という但し書きによりムキになって細部まで読んでしまうという罠にはまり、数ページ読んでは寝落ち(気絶)を繰り返してやっと読み終わりました。特に何も残ってないけど、笑ったことは笑ったよ☆。
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1 月
・小森陽一『子規と漱石 友情が育んだ写実の近代』
・石原千秋『なぜ「三四郎」は悲恋に終わるのか 「誤配」で読み解く近代文学』
・中島京子『FUTON』
・『明治の文学 田山花袋』
・山田正紀『仮面』
・シュテファン・ツヴァイク『人類の星の時間』
・春日武彦『臨床の詩学』
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田山花袋「少女病」「蒲団」
久しぶりに読んだ。わかいときは「気持ち悪い」とか「ひどい」とか「被害者顔してるけど単なる鬼」とかしか思えなかったのですが、今読むと主人公の一人相撲が憐れなのに特に同情せんでも読み進められるように書いてあるところが技巧的かなと思いました。悪質なアイドルオタクが言いそうなことがきゅっと詰まったこの短編。若い娘さんに向かって「老けた」とか言っているような輩のルドヴィコ療法にぴったりよ。
/読了