三
十二月も半ばのことだ。あなたはその日珍しく、夕方から出ていった。いや、本来ならそれは珍しいことではなかったはずだ。けれど例の依頼人はあなたを昼間独占してきた。それがその日はちがった。とうとうその依頼人と一晩過ごすことになるのだとおれは正直気が気ではなかった。
翌朝、黒のドレスシャツをきて帰ってきたあなたは開口一番、店で着替えさせられたと説明した。 おれは肯(うなず)いて、そのままあなたを強く抱き寄せた。
あなたの懊悩(おうのう)が胸を焼いた。嫉妬ではなく。
いや、それは嘘だ。
おれがあなたに絹のパジャマを贈ったのと似た…[全文を見る]
二
つぎはカシミアの黒いセーターだった。
あなたはそれをおれに見られたくなかったらしい。クリーニング屋で他に預かっているものがあると店のひとが気を利かせてくれたせいでわかった。おれはもちろん引き取らなかった。あなたはそれを着て依頼人のところに出向くのだから。
ため息をついてばかりいるあなたの横顔を思い浮かべる。ダブルワークの大変さもあっただろう。あなたは人並み外れて体力があるとは言い難い。けれどおれは、あなたがこんなふうに疲れているのが忙しさのためではないと知っている。あなたはむずかしい依頼を受けるのが好きだ。あなたの力を…[全文を見る]
ちょっと、無茶をするw
今までも書きあげてないものを連載してったんだからもうイイじゃん、的に。
でも、小咄こそ完成度が問われるのだがもう、とりあえず「始まり」が決まれば「終わり」は見える、ということをカルヴィーノ様に諭してもらったのでそれを信じることにした。
小咄「マフラー」
一
はじめは黒のカシミアマフラーだった。
十二月にはいってすぐの金曜の夜、あなたはそれを巻いて帰ってきた。そして、おれに見られて顔を背けた。その前日から急激に冷え込んで、あなたはコートの襟を立て紺のウールのマフラーをして出かけたはずだ。それはバッグの…[全文を見る]
愛の告白がわりのちょこれーとにかえて。
小咄「クッキー」
冬は何かと贈り物をするイベントが多い。あなたと付き合って、おれはそれを思い知った気がする。おれがあなたへ贈ったそれでも、あなたからもらうそれでもなく、あたなが、依頼人から贈られるものをみて。
あなたと暮しはじめて半年ほどたった冬は、そういう意味ではおれにとって居心地の悪い時季だった。きっと、あなたにとってもそうだったに違いない。いや、あなたはそんなふうには思い出さないかもしれないが。
あのころに、言葉にならないお互いのルールをそれと定めたのだ。つたない嫉妬やちいさな…[全文を見る]
きたよwww
おとぎばなしの王子様みたいにやさしいかとおもうと、妙なところでひとの背中を押しまくるどころか「突き落とす」ひとがw
「ゆっくり、急ぐ」からほぼ24時間後くらいw(20時間くらいかな、正確には)
小話「抱擁」
じぶんで鍵をあけずに玄関のドアがひらくのはいかにも不思議な気持ちがした。魔法のよう、というのはいささか大仰かもしれない。けれど、伸びてきた腕に抱え寄せられるまでそんなことを考えていた気がする。
会いたかったとくちづけの合間に二度ほどくりかえされてすぐ、おなかすいてたり疲れたりしてない、と聞かれた。ただいまもお帰りもなかった。腹はさほどでもないが、疲れてはいた。できたらすぐシャワーを浴びて横になりたかった。いつもそうしてきたはずだ。そ…[全文を見る]
ふたりが出来あがった日の翌日のこと
小咄から小説に戻して時間切れでコバナシヘ、みたいなw(←をいっw)
小咄「ゆっくり、急ぐ」
あなたの家に初めて押しかけた夜は土砂降りの雨だった。
目をさますと、おれが脱ぎ捨てた服はハンガーにかけられ、ずぶ濡れの靴は丸めた新聞紙が詰めこまれて三和土のうえに整然と揃えられていた。
いっしょに暮らしてくれませんかと言ったおれにあんな渋い顔をしておいて、こんな世話女房みたいな真似をするあなたがわからなかった、などと言うつもりはない。あなたはたぶん、誰が泊まったとしても同じようにしたのだろう。そんな…[全文を見る]
うささんのために(?)、燃料投下!
(同人誌『春夢揺曳 はるのゆめただよひ』の裏おとなヴァージョンw 店長とラスボスだよ!)
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小咄「春夢狼藉 はるのゆめあらして」
重厚な木製の扉の前に立ち、いったい何をしているのだろうと考える。俺が店長をつとめるコンビニエンスストアが一階におさまったビルの最上階に、あの男の事務所がある。この扉の奥に。
今夜は慰労の会だとかで、花見のあとはみなこちらに戻らず解散となったらしい。そういうとき、見計…[全文を見る]
うささんのハイクせりふでみなさんが遊んでくれてたので、
テクスト担当は大いに(!!)触発されて、
ふたりが一緒に暮らし始めたころの電車デートのことなんかをちらっと書いてみたよ☆
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小咄「電車」
車窓から眺める景色が好きらしい、ということにはすぐ気がついた。
ある巨匠の映画祭というのに連れていかれ、俺は途中で少し寝てしまったのだが、彼はずっと熱心にスクリーンを見つめていた。ときに食い入るように、と言ってもいいほどの執着で。
その帰りの…[全文を見る]
すでに「前のほうがよかった」ていう呟きは見てますねえ
うささんがあそこでお歌よむなら、返歌つけられそうなときには「相聞」いたしますよん☆
あれ?
す、すみません・・・
のぞいてらっしゃるからご存じかと・・・(言い訳w)
最終話、この物語の開始時点の回想シーンとして「HENな転校生」を黒髪君にすれば問題ナシw
むしろ、そのまんまです
うささんも、ふぁいとーーー☆
今日この日に
うささん、たいへんお疲れさまでございます
そして、本当にどうもありがとうございます!
わたしのメモ書き原案から、素敵な熊さん(こだわってるw)な店長を、そしていかにもラスボスらしい黒髪君の叔父を、それから妻であり娘であり母でもあるひとを描いてくださってとても嬉しいです!
本当に、ほんとうに、どうもありがとうございます!!
あと、脇役さん一家もv(あのひと、イイきゃらだとおもってたんですよー)
グリーンルーム(http://h.hatena.ne.jp/usaurara/243598062288400494)でいったように
「夢のように、おりてくるもの」は確かにわたし…[全文を見る]
伊・アグリジェント、世界民族舞踊の祭典『アーモンドの花祭り』
http://euro.typepad.jp/blog/2012/12/sagra_del_mondorlo_in_fiore.html
コラボ花うさぎ新刊『夢のように、おりてくるもの』でしか読めない(!)オマケの外伝『春夢揺曳(はるのゆめただよひ)』(原稿用紙30枚)にも出てくるアーモンドの花のお祭りです
もちろん、あのおはなしのおまつりは彼らの住む町内会のお祭りなんですけどねv
店長が頑張っちゃってねええ、あと黒髪君の叔父さんがいかにもラスボスで、ていうはなしは読まれた方のお楽しみでして(笑)
上の記事です、はい
わたしが訪れたのはこ…[全文を見る]
さーせんっ!!!
素直にそこは認めますorz
いやでも、たくさんきょうだいいたうえにおばあさんも同居、しかも両親共働きで面倒見のいい長男な茶髪くんと違って
黒髪君ちはひとりっこで核家族なので(あそこも共働きだけど)、食べるものは彼が好きなもの優先だったと思うんですよ、それが当たり前みたいな
(作者らしく何か言おうとしているよ?)
え?
おでんですよ、おでん!
もしも卵が五個しかなかったら、最後の一個どっちが食べるか緊迫するじゃないですか!?
(でもどっちかが大根と交換でおさまりがつくと勝手に思っているw)
ですですw
でもおでんは数が数えられるので、初おでん以降は仲良く食べると思いまする♪
(初おでんをどちらが仕込んだのか、どういうふうに食べることになったかは非常に重要な問題かと 爆笑)
おはようございます。
ご提案どうもありがとうございます!
連載終了までわたしが色々と覚束ない感じではありますが、
季節行事についてはおはなしのテーマとも絡みますし、
またやり取り自体の「記録」という点でも大事だと思います。
うささんと相談してみますね。
こちらこそ、また何かありましたたらお話しいただけると嬉しいですv