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読了のことを語る

「第二音楽室」佐藤多佳子
聴くのは大好きだけど、演奏や歌は苦手だから、ついていけるかなぁと思ったけれど、心配無用でした。「音楽」というガジェットはあるけれど、彼女たちが感じている思いは、誰もが経験してきた青春のそれ。演奏というかけがえのないひとときは、青春そのものを表しているんだなぁと思った。
個人的に、男子が声変わりしていく時期って未知の世界で、女子校だったし、「デュエット」とか「FOUR」のドキドキした感じがうらやましくもあり。落ちこぼれどうしが練習場所(=秘密基地)として「第二音楽室」で過ごすうちに連帯感がうまれて、かといってベッタリするわけでもなく、そういう微妙な関係がリアルに描かれていていいなぁと思った。秘密基地で飲むカフェオレ、おいしそう。ルーちゃん格好いいしね。
いちばん好きな「裸樹」は軽音部の女の子たちのお話で、ついあの作品を連想してしまいました。ずっと現実的で痛みのあるお話なんですが、読後のさわやかな気持ちは通ずるものがあるのではないかと。主人公の女の子が、追い求めるものに必死になったり、自分の殻の中でグズグズしてる感じはすごく共感できるし、江上さんのキャラクターもよかった。
ステキな作品。オススメです。