「今夜、もちおにお願いがあります」
「なに?」
「運動不足解消のために散歩がてら駅まで自転車を取りに行くからついて来てほしい」
「いいとも」
「運動するご褒美がほしいけど自分で買うのご褒美って感じがしないから何か買ってほしい」
「いいとも」
「いいの?!」
「あーいいとも!」
もちおばんざい! テンホーばんざい!

/今日のダンナ
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「今夜、もちおにお願いがあります」
「なに?」
「運動不足解消のために散歩がてら駅まで自転車を取りに行くからついて来てほしい」
「いいとも」
「運動するご褒美がほしいけど自分で買うのご褒美って感じがしないから何か買ってほしい」
「いいとも」
「いいの?!」
「あーいいとも!」
もちおばんざい! テンホーばんざい!

「ごめん、今日麻雀してたんだ」
「そうだったの。勝った?」
「うん・・・それが・・・俺・・・テンホウ出したんだよ・・・!」
「へー!それで最終的には勝てたの?」
「勝ったよ!」
「じゃあよかったね!」
「テンホウだよ?!俺、変な声でちゃったよ」
「あはは!びっくりしたね」
「はてこさん、テンホウ検索してみて」
「知ってるよ。知らないと思ってんの?脱衣麻雀で出るんだよ」
「え?」
「あと一枚・・・!って時に、『テンホー!』って出しまくってくるんだよ。対戦相手が」
「あー、そうなんだ」
「それで、どんな感じだったの?」
「あ、うん、なんか、今の話のがインパクトがあったから、もういいや」
年上女房との世代格差。
「また地震が来るよ・・・二度目の地震が」
「え」
「また地震が来るよ・・・二度目の地震が」
「どこで?」
「・・・・・・」
嫌な寝言ふたたび。
「わたし明日、文楽を観に行くの!」
「ぶーんらくぅーとぉーなぁーーあ!」
「電車の時間を調べなきゃ」
「ジョぉぉるだぁんーをぉー…あれ、文楽ってこういうのじゃないっけ」
「文楽は人形がしゃべるんだよ」
「人形がしゃべるのか」
「あ、違った」
「すごい時代に生まれたな」
「違うよ」
「三浦をしん」
しをんだよ。
「俺さ、子供の頃いじめが辛くってさ、言ったかもしれないけど、何も考えない練習したんだよね。『ムー』とか読んでアジカンとかやって。知ってる?アジアカンって。阿修羅の阿っていう字を墨で半紙に書いて、壁に、白い壁だといいんだけどさ。壁に張るんだよ。そんでそれをじーっとみんの。何にも考えないでじーっと。そうすると字の周りの壁がどんどんどんどん白さを増して来てさ、字も黒いところと白いところがだんだんぜんぶ白く見えてきて、なーんも考えなくなってくるんだよね。まあ、そうしろって書いてるからそうしてるんだけど、ほんとにそうなって来るんだよ。俺…[全文を見る]
「お茶が飲みたいな」
「お茶が入りましたよ」
「ありがとう!はてこさんは天使みたいだね!人の役に立つことをしないと元気がなくなっちゃうんだね!」
「いえそんな」
「そうだよ!泳ぎ回ってないと死んでしまう、鮫みたいな!・・・・・・・・・・・あれ、ちょっとだいぶ天使から遠ざかったな」
久しぶりに妻から親切にされて混乱している。
「なんていう名前の本だっけ。えーと『オトコのカラダだキモチいい』?」
それじゃ性に飢えている人みたいじゃないですか。
「何も出来ない。ずっとベッドから出られない」という妻から布団を剥し、カバディで追い立ててトイレへ行かせた。
宝塚の「ベルサイユの薔薇」動画を観ている。
「この人、パブリックシューズの履き方がすごく上手いな」
「パブリックシューズ?」
「シークレットシューズの反対は、パブリックシューズ」
オスカルがすごく高いヒールのブーツを履いていた。
「ハハハ!この人、もう完全におっさんだな。俺はこれを読んでおっさん面白れえと思うくらいおっさんになってしまった」
「そう。うんざりが面白いに変わって、そのうち人にドヤ顔で紹介するようになって、反応がないと『聞こえなかったか』と二度言ったり、『難しかったかな』と解説したりするようになるのよ」
「ハハハハハ!そうだな。ハハハハハ・・・あー・・・一週回って落ち込んできた・・・」
おっさんの階段は悲しみへと続く。
少し前に炎上したブログを読んでいる妻。
「このひと『自分の心に嘘をつくことが最大の不倫だと思う』だってさ。どう思う?」
「馬鹿だなんて思ってないよ?」
「じゃ、どう思ってんの」
「馬鹿だなんて、思ってないよ?フフッ!」
「?」
「自分の心に嘘をついてみた!フフフッ!」
穢れない幼子のような笑顔だったから、相当酷いことを考えていたと思う。
古代存在した幻の国の女神の生まれ変わりだという触れ込みで、ボーナス一回分くらいのセミナーを開いている女性の画像を見て。
「こいつの目には自分しか映ってない。目に、自分しか映ってないんだよ」
「?」
「フフ・・・言わない方が長く楽しめるな」
「なに?」
「『目がMe』なんだよ!・・・ククク・・・これが俺の39歳最初の日か・・・!」
少年老い易く駄洒落離れがたし。
お誕生日なのに一人で寝込んでいて可哀想。
出掛けにバタバタしている最中ソファに座る。
「こーしーを かーけーるーもちーおー
はーてーこー やーきーもーきーするー」
時をかける少女がここ数日ブーム。
「もちおの帰りが遅いと、これから一人で生きて行かなきゃいけないのかっていつも心配になる」
「大丈夫。心配するな。心肺停止!」
「不謹慎だよ!」
「もーちーをー かーけーるー少女ー
…『負けたら鏡餅ついてやるよ!』
『ズルーい!二枚だけじゃない!』」
替え歌で小芝居始める。
「もーちーおー かーけーるー少女ー
…怖い!もちお、バラバラにしてご飯にかけられちゃう!」
「お餅をかけるんじゃない?」
「そっか!あーよかった」
自分の替え歌にガクブルする。